弊所では過去に逮捕歴や有罪判決を受けられた方のアメリカビザ申請に関するご相談を多くお受けします。
今回は、そのなかでも多いご相談である表題の内容について書かせていただきます。
執行猶予中にESTAで渡米できるのか?
執行猶予付きの判決だったのでESTAでは犯歴NOと申告可、と勘違いされてらっしゃる方が多いです。
弊所には、このような勘違いで実際にESTAで犯歴NOと申告され認証されたESTAで渡米され入国拒否を受けたとご相談される方が非常に多いのですが、皆さんネット上で得られた情報をもとにESTAで渡米されているようで、実際にアメリカの移民局や国土安全保障省などに直接確認をされている方はいらっしゃいません。
窃盗罪、法人税法違反、向精神薬取締法違反、器物損壊罪などで執行猶予付き判決を下された方々が、執行猶予中に発行された6か月や1年の限定パスポートとともに、または犯罪発生前に取得されていたパスポートとともに、ESTAで犯歴なしと申告し認証が下りたESTA又は犯罪発生前に取得されていた有効なESTAで渡米され、現地で入国拒否を受けたとご相談される方は後を絶ちません。
詳しくお話をお聞きすると、執行猶予中はESTAで渡米できるとネットに書いてあったから。。とのこと。
ESTA公式サイトは一つしかなく、このような記載は一切ありません。
上記内容はこの公式サイトではない非公式のサイトやそのほかの公式サイトのように見えるサイトに記載があるようです。
これらの情報を信じて渡米され入国拒否を受ける方からのご相談が非常に多くなり、弊所ではCBPへこのようなサイトへ注意喚起を行ってほしいということと、そもそも執行猶予中のESTA入国は可能なのも確認したことがあります。その際の回答は、下記のとおりです。
Good day,
Thank you for contacting the U.S. Customs and Border Protection, Traveler Communications Center. We do not recommend that travelers who have been arrested attempt to travel under the Visa Waiver Program (VWP). Even if the arrest did not result in a criminal conviction, it is recommended that the individual obtain a travel visa from the U.S. Department of State at a U.S. Embassy or Consulate. This will help to prevent travel delays and possible entry refusals, as documentation related to the arrest will be requested and verified during the visa application process.
Thank you,
TCC Representative
Traveler Communication Center
U.S. Customs and Border Protection
おそらく定型文かと思われますが、つまり、有罪判決に繋がらない逮捕歴であっても、逮捕歴がある方は、ビザ免除プログラムは利用は勧めないとの回答です。つまりESTAではなくビザを取得することを推奨されています。
この後、CBPのホームページ上では、これらのサイトに注意喚起をしてくださったととらえられる記事が掲載されました。
また、ESTA公式サイトでも下記のような記載が最近追加されました。
執行猶予中でも渡米できるとの記載は、公式サイトにはありません。
CBPのホームページHome (cbp.gov)では、入国できない外国人として8 USC 1182: Inadmissible aliens (house.gov)に定めており、執行猶予付き判決についてはこれらの犯罪であっても入国できるとの条文は一切ありません。
どうぞ、執行猶予中の方や執行猶予付き判決を下された有罪犯罪歴がある方は、ご自身のためにまた、ご自身と一緒に同行されるかたのためにもESTAで渡米される前に大使館やCBPにご確認いただくようお勧めします。
懲役一年以上の量刑を下された方に関しては、PCSC協定によりアメリカと犯罪情報が共有されます。たとえESTAで認証がおりたとしても、入国手続時点でESTAで虚偽の申告をし「不正入国」を試みた外国人として、入国拒否となります。帰国後最低でも5年間はビザ申請をされても許可がもらえない状況が続きます。現実的には10年以上の入国禁止期間が設定されているため、その間のビザ許可の可能性はほぼありません。
結論として、執行猶予付き判決を下された方はアメリカへのESTA渡米はできないため、渡航目的に応じたビザが必要です。
ネット上にはいろいろな情報があふれています。執行猶予付き判決を下された方のアメリカビザ申請については、ほとんどの専門家のHPで厳しい見解がなされている中で、ESTA渡航OKとの記載が公式のようなHPでなされていると、信じてしまうのは常でしょう。しかし、とても危険です。どうぞ渡米前に十分ご確認いただくことを強くお勧めいたします。
執行猶予中にビザは取得できるのか?
執行猶予中のビザ申請で許可が出る可能性がある犯罪は、移民国籍法が入国できない外国人の犯罪として定めているCIMT(不道徳犯罪)ではない犯罪の場合です。
例として、過失運転致傷罪、業務上過失~罪などになります。
計画性、悪質性、常習性がない場合は、執行猶予満了前でもビザを許可してもらえる可能性は十分あります。
残念ながら、CIMTとされる罪名の場合は、最低でも執行猶予満了後にビザ申請されることをお勧めします。
ご自身の罪名、量刑でビザの可能性があるかどうかのご相談や、そのためにはどのような書類が必要かなどのご質問がある方は専門家にご相談ください。
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