DHS Traveler Redress Inquiry Program、通称DHS TRIPについては、以前ブログ(毎回別室送りになるんです)で毎回アメリカ入国時に別室送りとなり、入国手続きに数十分から数時間を要するAさんについて書かせていただきました。
DHS TRIP申請は、米国入国時に毎回長時間の追加審査でお困りの方にとってスムーズな入国を可能にするための有効な手段の一つであり、Aさんのように毎回米国入国時に別室送りになる方々には申請を強くお勧めします。
Aさんの場合、Aさんのエスタ入力の情報とアメリカが保有しているAさんの記録に齟齬が生じていたため入国時に事実確認のための追加審査に数十分から数時間を要していましたが、
Aさんのようなケース以外でも、
過去にビザ申請が却下された方
アメリカで入国拒否を受けた方、
不法滞在していないのに米国出国の記録がないためにオーバーステイとなっている方、
アメリカでの軽微な犯罪による罰金刑を受けた方、
アメリカで逮捕されたものの不起訴になった方
などが、
その後新たにビザを取得されたにも関わらず、毎回米国入国時に数十分から数時間の追加審査を求められるというような問題解決にもDHSTRIPは効果的です。
DHSTRIPはオンラインまたはメールで申請ができます。申請費用は、(現在のところ)無料です。
フォームの内容は、すべて英語で入力が必要で、名前、住所、生年月日、髪の毛の色、目の色、身長などのほか追加手続きを求められた空港名、日付、航空会社名、便名など特に難しいものではありまんが、なぜ追加手続きを求められるのかご自身で思い当たる理由や、または移民官より追加手続きを求められる理由の説明があった場合はその内容を英文で説明する必要があります。
この説明はフォーム内の「詳細の説明」箇所に入力可能ですが、長文になる場合は別紙で添付も可能です。
その他、パスポートのPDFや有効と思われる書類があればそれらPDFをメールで送信してください。これらの書類は、郵送も可能ですが、現在コロナの影響で日米間の郵便状況は速達郵便不可となっているうえに普通郵便だと2週間から1か月かかる状況のためメールでの送付をお勧めします。
メールでDHSTRIPを申請後、通常早くて2週間~4週間、長い場合は2か月から3か月ほどでRedress Control Numberの記載のある文書がメールで送られてきます。
その文書には、Redress Control Number の記載とともに審査が完了したこと、アメリカ国内を移動する際に空港でその番号を提示することで手続きの遅延を避けられること、国外からアメリカに入国される際には特段番号の提示は必要はないものの追加手続きが必ず求められないとは100%保証できないことの説明が記載されています。最後の文章には、入港地によっては追加の情報提供のご協力をおねがいすることもあるとの追記もありますが、これまで上記ケースの方々でDHSTRIP申請後に「無事に入国できた」とのご報告以外に「また追加審査を求められた」とのご報告は受けておりませんので、問題のほとんどは本申請で解消されていると考えます。
このように、本申請は、過去に発生した問題を申告したうえでビザが発給されたものの、そのビザで渡米時に毎回追加審査を求められるという問題解決に非常に有効ですが、このような問題解決以外にも、これまでアメリカで不当に入国拒否を受けた方々が不法/違法目的で入国を試みたのではないと主張するためや、実際に入国拒否をうけたがなぜ入国拒否を受けたのかわからないので根拠条文を知りたいという場合にも本申請をお勧めします。
DHSTRIPのページにも、You believe you were unfairly detained during your travel experience or unfairly denied entry into the United States, つまり、アメリカ旅行中に不当に拘留されたまたは不当に入国拒否を受けた場合は、DHSTRIP申請できるとされています。
入国拒否を受けた際に発行されるI-877やI-867には、移民官との会話のやり取りの記載の後に、「上記踏まえ移民国籍法●条に基づいてあなたの入国は許可されません」と入国拒否となる根拠条文が記されています。
この根拠条文をパスポートに手書きで記載されるだけの方もいらっしゃいます。
これらI-877,I-867,パスポートのすべてを処分されている場合などは、なぜ入国拒否を受けたのか全く分からないので、本根拠条文を知るためにも本申請は有用です。
入国拒否を受けられた方がDHSTRIPを申請された場合、上記Aさん含む前述の方々(毎回追加審査を求められる方)へ送られる文書以外に、なぜ入国拒否を受けたのかの理由が記載された文書やその文書のほかに、入国拒否となる根拠条文が明確に記された文書が発行されます。
その根拠条文にもとづき、再入国禁止期間が設定されている場合は、その期間中のビザの申請はお勧めしませんが、すでに設定された入国禁止期間が経過している場合はその書面と共に、入国拒否を受けた経緯を説明する文書、移民官から発行されたI-877またはI-867のほか、日本との繋がりを示す書類などとともにビザ申請が可能です。しかし、入国禁止期間が経過したことで自動的にビザが発給されるわけではないので、一度入国拒否を受けられた方はビザ申請の際は慎重に書類を準備頂く必要があります。
コロナの影響か昨年から米国でESTA入国時に入国拒否を受ける日本人が急激に増えており、当事務所のDHSTRIPサポート件数も急激に増えています。ESTAで許可される商用観光目的で渡米されないことは言うまでもありませんが、ESTAで長期滞在を伴う渡航を頻繁にされないようどうぞご注意ください。
DHS TRIPについては、こちらのページも参考にされてください。
当事務所では、入国拒否歴のある方のアメリカビザ申請やDHSTRIP申請についてのご相談をお受けしています。
どうぞお気軽にご相談下さい。
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