先日ご相談がありました。
「20年前に懲役1年半の実刑判決を受け出所後これまで数回エスタでアメリカに旅行に行っていた。でも、昨年年末にいきなりハワイで入国拒否を受けた。どうしたらいいか?」
入国拒否の理由に関して移民官より具体的には知らされることはなくただ「あなたは入国できないので直近の便で母国に帰ってください」と告げられた、とのこと。
上記のお客様はこれまでただ運よくエスタで渡航出来ていただけにすぎませんが、同様のご相談は、日米間の犯罪者指紋情報共有制度PCSC協定が2019年1月に発効後に特に多くなったように感じます。
犯罪歴を理由に入国拒否を受けられたとのご相談をされる方は、量刑の差はありますが、犯罪の内容が不道徳犯罪に該当するケースが特に多いです。
犯罪歴を隠してエスタで渡航することはできません。
過去に犯罪歴がある方はエスタでの渡航は出来ず、米国入国には渡航目的に応じた適切なビザを取得しなければなりません。
上記の方はエスタ申請時に犯罪歴無しと申告したことでエスタの認証はおり、搭乗は出来たものの米国側が保有する実際の事実とエスタの内容が異なることで、本来取得するべき必要なビザを所持していないまたは虚偽申告との理由で入国拒否を受けたと考えられます。
このような事態が発生すると、再度米国に渡航するために必要なビザ取得の可能性を極めて低くすることにつながります。
犯罪歴を隠して数回エスタで渡航しうえに入国拒否を受けた方のビザの再申請の難易度は極めて高くなります。
日本では刑法34条の2において、
(刑の消滅)
第三十四条の二 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。
2 刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。
と定められています。つまり、懲役刑や禁錮刑の執行を終えた後10年が経過した場合や、罰金刑の場合は罰金支払い後5年間の間に新たな罰金刑や懲役刑を科されなければ、地方自治体が管理する「犯罪者名簿」から名前が削除され、法律上前科がないことになります。
そのため、懲役刑や禁錮刑執行後10年以上経過した方が自身の前科はないと判断しエスタで犯罪歴を申告せずに米国に渡航することは残念ながら往々にして起こっています。
一方、米国側に流れた犯罪情報は10年または5年経過後に更新される、消去されるなどのシステムではないために上記のような事態が発生します。
入国拒否を受ける状況にもよりますが、5年から20年または永久に米国に渡航できないなどの罰則が適用されます。
このような事態を避けるために、犯罪歴がある方でアメリカに渡航する必要がある方は、適切なビザ取得のために専門家にご相談ください。
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