依然世界的にコロナの終息が見えない状況ですが、在日アメリカ大使館/領事館では移民ビザ、非移民ビザ申請に係る領事業務が段階的に再開されています。
留学ビザや駐在ビザ、配偶者ビザなどが優先順位が高く、一日の限られた面接予約枠にはこれらのビザ申請が優先的に受け付けられています。
なお、緊急で渡航が必要な方などは緊急面接予約が可能です。
残念ながら依然として観光目的のBビザ申請は予約事態が難しい模様です。
一日も早く気軽に不安なく旅行できる日常が戻ることを切に願います。
さて、今回は、ここ数日連日同様のご相談が入ったため、これまで当事務所のブログでも何度も書かせていただいておりますが、あらためて「罰金刑がある方のアメリカビザ申請」について書かせていただきます。
ご相談の内容は、
「略式命令で罰金刑だったのでESTAで犯罪歴はなしと申告していいですよね?」
「罰金刑だったのでビザは取得できますよね?」
「罰金刑の犯罪歴はPCSC協定の犯罪には当たらないので入国時にバレないですよね?」
などです。
どこかのサイトで「罰金刑は、アメリカ渡航に際し申告義務のある犯罪歴に当たらない」などの情報が掲載されているのでしょうか。
逮捕や有罪に至らないような交通違反を除き、有罪判決の有無にかかわらず逮捕歴のあるかたや罰金刑を含む懲役、禁固刑などの有罪判決を受けた方はESTAは利用できません。
日本法を扱う日本の弁護士の先生から罰金刑だったらESTAで渡航できるといわれた、という方もいらっしゃいます。
5年経過すると罰金刑を受けた記録は日本国内では消えるためです。
実際に、これまで当事務所に5年以上前に道交違反ではない罪で罰金刑を受けた方がアメリカで入国拒否を受けご相談された方もいらっしゃいます。
10数年前の不起訴処分歴でも入国拒否を受けた方もいらっしゃいます。
ご自身で少しでも疑問がある場合は、渡航する前にアメリカ大使館やCBPなどに連絡し、情報の信ぴょう性をしっかり確かめていただきたいと思います。
前述のとおり、罰金刑もれっきとした前科となります。
そのためアメリカにはESTAではなくビザを取得し入国する必要があります。
量刑が「懲役刑や禁錮刑ではなかったので犯罪歴には該当しないですよね?」と聞かれる方もいらっしゃいますが、裁判所より罰金の支払い命令を受けた「罰金刑」となるためアメリカ渡航の際には犯罪歴として申告する必要があります。
(以下在日アメリカ大使館HPより)
いいえ。逮捕歴がある場合は、ビザ無しで渡米することはできません。あなたの渡米資格を判断するためには、ビザの申請が必要です。ビザ申請の際には、判決謄本・裁判記録・またはあなたの犯罪歴に関しての関連書類を全て提出しなければなりません。日本語の書類には英訳文が必要です。もしお手元にそれらの書類をお持ちでない場合は、あなたが手続きを受けた裁判所を管轄する地区検察庁にご自身で連絡を取って入手してください。審査には数週間から数ヶ月間を要しますので、予めご承知の上、渡米予定日に充分余裕をもって申請してください。なお、パスポートがお手元に届くまでは航空券の購入や旅行の最終決定は控えてください。
ちなみに、在英アメリカ大使館のHPでは、
犯罪歴のある方のアメリカ渡航について、以下のように説明されています。
We do not recommend that travelers who have been arrested, even if the arrest did not result in a criminal conviction, have a criminal record, certain serious communicable illness, have been refused admission into, or have been deported from, the United States, or have previously overstayed under the terms of the Visa Waiver Program, attempt to travel visa free under the Visa Waiver Program. The Rehabilitation of Offenders Act does not apply to US visa law and spent convictions,regardless of when they occurred will have a bearing on a traveler’s eligibility for admission into the United States.
上記概要は、過去に有罪判決に至らない逮捕歴および犯罪歴がある方はビザ免除プログラムを利用してアメリカ渡航することは推奨しないと書かれています。なお、犯罪者更生法などの法律も適用されないため、犯罪がいつ発生したかは関係ないと、も書かれています。
カナダは10年など一定の期間が経過することで犯罪を犯した方は更生したとみなすなどの法律があるようですが、おそらくそれとイギリスも同様の法律になるのでしょうか。
ちなみに、交通違反について在英アメリカ大使館HPでは、
Traffic offenses
If you have a minor traffic offense which did not result in an arrest and/or conviction you may travel visa free under the Visa Waiver Program, provided you are otherwise qualified. If you are not sure whether or not you are eligible to travel visa free, the only way to resolve this question is to apply for a visa.
有罪判決に至らない軽微な交通違反であればESTAで渡航可能、しかしESTAで渡航可能かどうか不安な場合は、ビザ取得が唯一の解決方法、とのことです。
また、在豪アメリカ大使館のHPでは、
I was arrested/convicted of a crime years ago. Can I use the VWP?
ESTA will assess your eligibility for travel to the United States under the Visa Waiver Program. The assessment includes questions regarding previous arrests and/or convictions. If you have been arrested for or charged with a crime, including offences involving the use of a controlled substance, you may require a U.S. visa and, in some cases, a waiver of ineligibility. If you choose to apply for electronic travel authorization via ESTA, the system will advise you whether you must visit one of the U.S. Consulates in Australia to apply for a visa. For further details on ESTA and to see if you are eligible for the VWP please refer to the ESTA website.
数年前の逮捕歴/犯罪歴があるがESTAが使えるか?の質問に対し、規制薬物使用の犯罪を含む犯罪歴で逮捕または有罪判決を受けた場合は、ビザ申請かまたは場合によってはビザ不適格の免除申請が可能と書かれています。
ちなみに上記在豪アメリカ大使館HPにかかれている「免除申請」ですが、在ニュージーランドアメリカ大使館のHPでは具体的に書かれています。
Applicants who have been arrested or charged with a crime are advised to apply for a visa well in advance of your intended date of travel. Please note this includes any offences involving the possession or use of a controlled substance. You will need to provide details of your conviction in the form of court records. Be aware that it is your responsibility to obtain these records should they be required.
At your visa interview, a consular officer will determine whether or not you are eligible for a U.S. visa. We are not able to advise whether or not you are eligible for a visa in advance of the interview.
Should you be found ineligible, the interviewing consular officer will decide on whether or not to submit a request for a waiver of your ineligibility. This request is made on your behalf to U.S. Customs and Border Protection’s Admissibility Review Office. The recommendation for a waiver is at the discretion of the interviewing consular officer and will be based on the nature, recency, and severity of your offense(s).
Approval of a waiver can take six to eight months so it is strongly advised that you not make any travel bookings prior to receipt of the visa.
Travelers with Criminal Records
Convictions for certain crimes may make you ineligible to travel to the U.S. with the exception of a single DIC/DUI (see below). The only way to know for sure if your criminal record makes you ineligible is to apply for a visa. Only a consular officer can determine your visa eligibility. Please note that New Zealand’s Clean Slate Act does not apply to U.S. visa law. If you have a criminal record and attempt to travel without a visa, you may be refused entry into the United States.
You need to bring a copy of your Criminal History Report with you to the visa interview. The administration of criminal records is the responsibility of the New Zealand Ministry of Justice. You should use the “Priv/F1 – Request by Individual” form found on the Ministry of Justice website and follow the instructions listed there. Be sure to tick the box for your full record of convictions.
Even if your conviction makes you ineligible to travel to the U.S., you may be able to obtain a temporary waiver of this ineligibility. You should discuss this with the consular officer at the time of the interview. Waiver processing can take more than 6-8 months, so if you think you may require a waiver, please apply early. We always recommend you do not make any financial commitments for travel until you have received a visa.
上記概要ですが、ビザ面接時に担当領事がビザ発給かまたは免除申請をアメリカ本土の推薦機関に送るか否かを決定し、送られた場合その手続きには約6~8か月かかるとのこと。
つまり、上記日本含むその他の国々の大使館のHPで記載されている通り、「逮捕」または「有罪判決」を受けた方はESTAではなくビザが必要と説明されています。いずれも懲役刑や禁錮刑、罰金刑など具体的な量刑については書かれていません。罰金刑だったらOKなどの記載ももちろんないわけです。この犯罪はOKでこの犯罪はNOだとの記載も当然ですがありません。
そのため、逮捕歴、有罪判決がある方は、犯罪の内容にかかわらずアメリカ渡航前に申告しなければなりません。ビザ発給の可否については量刑の軽重ではなく犯罪の内容をみて領事が判断します。
罰金の額が少額だったので大丈夫、ではありません。あくまで移民国籍法がさだめる不道徳犯罪CIMTであるかないかを領事が判断します。
また、犯罪の内容以外にも経年具合や更生しているかどうか、日本との繋がり、資産状況などもビザ発給の判断材料として個別具体的に審査されます。
そのため、懲役1年の方がビザが取得でき、罰金40万円の方がビザが却下されるなどのことが起きるわけです。
当事務所では道交違反以外の罪で罰金刑含む懲役刑の量刑を受けた方のビザ取得実績が多数ございます。
ご自身のケースのビザ取得の可能性やビザ申請の必要書類等ご相談がございましたらどうぞお気軽にご相談ください。
なお、罰金刑を隠して渡航したい、ESTAでばれないか?などのご相談は一切受け付けておりませんのでご了承ください。
#アメリカビザ
#逮捕・犯罪歴がある方のアメリカビザ申請
#入国拒否歴